マルチレベルクラス
リッジメドウズ日本語学校では新しい試みとして、マルチレベルクラス制を導入しています。これは、継承語教育の第1人者であるトロント大学名誉教授中島和子先生も奨励されているアイデアです。
マルチレベルクラスでは年齢の違う子供たちが1つのクラスで一緒に通常の勉強だけではなく、文化や行事の学習をします。
教科書は読解・漢字学習の指針として引き続き使用しますが、全体活動においては教科書に執着せず、現地校の学習要項・時事問題など、現地の学校・友人との間でも活用できるよう内容を月ごとにトピックとして授業に取り入れていきます。例えば、2010年1月には、バンクーバー冬季オリンピックを取り上げ学習しました。クラス内でオリンピック競技について皆で調べ発表したり、日本選手のことを学びカナダの選手とどこが違うのかを考えたりすることから、教科書で学んだカタカナ・漢字などの読み書きの実用性を感じることができました。
このような環境は子供たちにとって、縦の線の関係、すなわち低学年の子への思いやり・高学年の子への尊敬などを学んでいくのに適しているといえます。また、日本語を継承語として学んでいる仲間意識を育てると共に、将来二言語・二文化の狭間でアイデンティティが揺れた時の心のよりどころとなる日本語・日本文化に対する自信・誇り・自尊精神を養うことも目標としています。マルチレベルでは、子供たちの日本語・日本文化への興味、関心を養うことを重点におき、教師はファシリテーターとして彼らの考える力を育てるサポートをします。
本校でマルチレベルクラス制を行う背景には、各家庭における日本語の使用度、日本語環境への取り組み方に多少の違いが見られるという事があげられます。これは子供たちの日本語への興味やレベルにも反映しており、同じクラス内でも個々の日本語への反応に相違が生まれてきます。その為、全員の日本語力に適した活動内容を行うことが必要不可欠であります。また、レベルが上がるに連れ、文法・漢字が複雑になり、従来の国語教育では子供たちが行き詰ってしまい、日本語学習に消極的になってしまう可能性が否めません。
今後もご家庭とリッジメドウズ日本語学校が連携し、子供たち一人一人の日本語環境がより豊かなものになるよう、ご理解とご協力をよろしくお願いいたします。